グリーストラップとは|構造・清掃方法・トラブル対策を完全ガイド

グリーストラップとは、飲食店や食品工場の排水から油脂や生ゴミを分離・除去する装置のことです。
私は水道修理の現場で数多くのグリーストラップトラブルを解決してきましたが、正しい知識と適切なメンテナンスがあれば、多くの問題は未然に防げます。
この記事では、グリーストラップの基本構造から日常の清掃方法、トラブル時の対処法、そして業者選びのポイントまで、実際の現場経験をもとに分かりやすく解説します。
排水つまりや悪臭でお困りの方、コンプライアンス対応に不安を感じている方にとって、即実践できる具体的な解決策をお伝えします。
目次
グリーストラップとは何か

グリーストラップの基本的な定義
グリーストラップとは、飲食店やキッチンなどの業務用厨房に設置される油脂分離阻集器のことです。英語では「Grease(油脂)」と「Trap(捕捉・阻止)」を組み合わせた言葉で、その名前の通り調理中に排出された油や脂肪分を取り除くための排水設備として機能します。
私たち水道修理のプロの現場でも、グリーストラップは「油脂分離槽」や「阻集器」と呼ばれることが多いです。簡単に言うと、厨房から出た汚れた排水を、そのまま下水に流さないための重要な設備なんです。
グリーストラップには主に「2槽式」と「3槽式」がありますが、一般的な業務用厨房では3槽式が設置されています。それぞれの槽が異なる役割を担い、段階的に排水を浄化していく仕組みになっています。
グリーストラップの種類 | 特徴 | 主な設置場所 |
---|---|---|
2槽式 | コンパクトで設置しやすい | 小規模店舗、家庭用 |
3槽式 | 処理能力が高く効果的 | 業務用厨房、大規模施設 |
なぜグリーストラップが必要なのか
では、なぜグリーストラップが必要なのでしょうか。理由は主に3つあります。
まず、油脂による排水管の詰まりを防ぐためです。油や脂肪分は水に溶けないため、そのまま排水管に流れ込むと管内で固まって詰まりを引き起こします。特に大量の油を使う飲食店では、この問題は深刻になりがちです。
次に、環境保護のためです。油脂が下水道に流れ込むと、下水処理場での処理に大きな負担をかけ、最終的には河川や海の汚染につながります。グリーストラップで事前に油脂を除去することで、水質汚濁を防いでいるんです。
最後に、衛生環境の維持です。油脂が蓄積すると悪臭や害虫の発生源となり、食品を扱う施設としては致命的な問題になります。
近年ではHACCPの義務化に伴って、自治体でもグリーストラップの設置や清掃について細かく指導しています。衛生管理を遵守せずにいた場合は、罰金刑や営業許可証の停止など具体的な罰則が定められる可能性があるため、これまで以上に重要視されるようになりました。
設置が義務付けられている理由
グリーストラップの設置は、法律によって義務付けられていることをご存知でしょうか。主に以下の3つの法律が関係しています。
下水道法による規制
下水道法では、水質汚濁のリスクを避けるために、飲食店から出る排水の水質基準が具体的に記載されています。基準となるのは次の3つの項目です。
項目 | 基準値 |
---|---|
水素イオン濃度 | 5~9pH |
BOD(生物化学的酸素要求量) | 600mg未満/1Lあたり |
ノルマルヘキサン抽出物質(動植物油脂含有量) | 30mg未満/1Lあたり |
これらの基準を超えた場合、水質改善もしくは排水停止の指導を受けることになります。繰り返し指導されても改善されない場合は、罰則を受けるリスクがあるので注意が必要です。
建築基準法による義務
建築基準法第129条では、建物に設置する排水設備について「国土交通大臣が定めた構造方法を用いる」と記されています。飲食店などの排水を伴う事業者の場合は「建設省告示1597号」が該当し、油脂を取り扱う店舗で配管設備を破損させるリスクがある場合は、阻集器の設置が必要と定められています。
水質汚濁防止法による規模基準
水質汚濁防止法によって、グリーストラップが必要となる飲食店の規模が定められています。阻集器の設置が必要な店舗の床面積は420㎡以上です。
ただし、この基準に該当していないからといってグリーストラップを設置しなくてもよいわけではありません。地方自治体独自の基準もあるため、適切に排水を行うことができるよう注意が必要です。
私たち水道修理業者も、これらの法的要件を十分理解した上で、お客様に最適なグリーストラップの設置や修理をご提案しています。法令遵守は事業継続の基本ですからね。
グリーストラップの種類と構造

グリーストラップは厨房からの排水を、下水管に流すまでの間に設置されている設備で、主に2槽式と3槽式の2つのタイプがあります。ここでは、それぞれの特徴と詳細な構造について解説していきます。
2槽式と3槽式の違い
グリーストラップには槽の数によって2つのタイプがあり、設置する店舗の規模や排水量によって使い分けられています。
種類 | 槽数 | 適用規模 | 設置場所 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
2槽式 | 2つの槽 | 小規模店舗 | 厨房内 | コンパクト設計、日常清掃が比較的簡単 |
3槽式 | 3つの槽 | 中規模〜大規模店舗 | 厨房外(地下や屋外) | 高い浄化能力、より確実な油脂分離 |
一般的な業務用の厨房では3槽式が設置されています。3槽式の方が段階的に汚れを除去できるため、より確実に排水基準をクリアできるからです。
2槽式は設置スペースが限られている小さな店舗で使われることが多く、第1槽で生ゴミを除去し、第2槽で油脂分離を行います。一方、3槽式はより大容量の排水処理が可能で、3段階にわたって確実に不純物を除去していきます。
3槽式グリーストラップの詳細構造
3槽式グリーストラップは、3つの槽がそれぞれ異なる役割を担っています。どこか1つの槽に不具合が起こると排水つまりが発生してしまいます。メンテナンスをする頻度も槽ごとに異なるため、3つの槽の特徴をしっかりと理解しておくことが大切です。
第1槽|生ゴミ除去エリア
厨房で使った水が流れていくときに、初めに通る槽が第1槽です。ここは最も汚れが溜まる重要なエリアになります。
第1槽の主な機能は以下の通りです:
- 野菜クズや残飯などの大きな生ゴミをバスケットで受け止める
- 細かなゴミを沈殿させて流れ出ないようにする
- 排水の流れを緩やかにして次の槽での処理効率を高める
第1槽のバスケット内に溜まった生ゴミは毎日取り除く必要があります。多くの食材を扱う店舗では、数時間おきの清掃がおすすめです。グリーストラップ専用のゴミネットをバスケットに被せておくと、細かいゴミも簡単に処理できて便利ですよ。
第2槽|油脂分離エリア
第2槽は排水に含まれた油脂と、さらに細かい汚泥を分離するための槽です。ここがグリーストラップの心臓部といえる重要なエリアになります。
第2槽での処理プロセス:
- 排水中の油汚れが水面に浮上する
- 第1槽で取り除けなかった小さなゴミが底部に沈殿する
- 中間部分の清澄な水だけが第3槽へ流れる仕組み
水面に浮かんだ油脂は、最低でも週に1度は取り除いて掃除するようにしましょう。油脂は害虫の栄養分になるため、放置すると害虫が大量発生する恐れがあります。グリーストラップ専用の吸着マットを水面に浮かべておくと、油脂を自動的に吸着してくれるので清掃が楽になります。
第3槽|最終処理エリア
第1槽で大きな残飯が取り除かれ、第2槽で油脂が分離された排水は、第3槽から下水道へ流されます。ここが最終チェックポイントの役割を果たしています。
第3槽の機能:
- 最終的な水質確認と微細な汚れの除去
- 排水トラップによる下水臭の遮断
- 害虫の侵入防止
第3槽は比較的汚れにくい場所ですが、1ヵ月に1度はヌメリや汚れを取り除くようにしてください。第3槽に設置されている排水トラップの汚れを放置すると、排水つまりが起きる原因になってしまいます。排水トラップのフタを取り外して、柄の長いブラシを使うと簡単に掃除できますよ。
各部品の機能と重要性
グリーストラップは複数の部品が連携して機能しており、どの部品が故障しても全体の性能に影響します。各部品の役割を理解して、適切なメンテナンスを行うことが重要です。
部品名 | 設置場所 | 主な機能 | メンテナンス頻度 |
---|---|---|---|
バスケット | 第1槽 | 排水の中に混ざった生ゴミを集める | 毎日 |
スライド板 | 各槽の境界 | 3つに分かれた槽を仕切る | 月1回点検 |
トラップ管 | 第2槽→第3槽 | 油脂を除去した排水を運ぶ | 月1回清掃 |
排水トラップ | 第3槽 | 下水臭や害虫の侵入を防ぐ | 月1回清掃 |
フタ | 各槽上部 | 排水の匂いを防ぎ、安全性を確保 | 随時点検 |
これらの部品が劣化して破損している場合には、新しい部品に交換して修理する必要があります。部品を探すのに苦労するため、グリーストラップの取り付けを行った水道修理業者に修理対応を依頼するのがおすすめです。
また、各部品は定期的な点検が欠かせません。特にバスケットの目詰まりやスライド板のずれ、排水トラップの水封切れなどは、グリーストラップの機能を大きく低下させる原因となります。日常の清掃作業の中で、これらの部品の状態もチェックする習慣をつけておくと安心ですね。
水道修理業者に依頼する場合は、必ずグリーストラップの部品交換に対応しているか業者に確認するようにしましょう。水道修理業者によってはグリーストラップの部品交換に対応していないこともあるので注意が必要です。
設置義務と法的要件

グリーストラップの設置は、実は法律でしっかり決められている義務なんです。「なんとなく付けておけばいいでしょ」なんて軽い気持ちではダメ。飲食店を営業するなら、必ず守らなければならない重要なルールがあります。
これを知らずに営業していると、最悪の場合は営業停止になる可能性もあるので、しっかりと理解しておきましょう。法律って聞くと難しそうですが、要点を押さえれば大丈夫ですよ。
関連する法律と規制
グリーストラップの設置義務は、主に3つの法律によって定められています。それぞれの法律には、グリーストラップを設置する理由と基準が詳しく書かれているんです。
法律名 | 主な規制内容 | 違反時のリスク |
---|---|---|
下水道法 | 排水の水質基準を規定 | 水質改善指導・排水停止指導 |
建築基準法 | 阻集器の設置義務を規定 | 建築基準法違反での指導 |
水質汚濁防止法 | 設置対象施設の規模を規定 | 環境汚染防止法違反 |
下水道法では、飲食店から出る排水に含まれる油分の濃度が厳しく管理されています。具体的には、1リットルあたり30mg未満という基準があって、これを超えると水質基準違反になってしまうんです。
建築基準法では、建築省告示1597号に基づいて「油脂を取り扱う店舗では有効な位置に阻集器を設ける」ことが義務付けられています。つまり、グリーストラップの設置は建築時からの必須条件なんですね。
水質汚濁防止法では、床面積420㎡以上の飲食店に対してグリーストラップなどの阻集器設置を義務付けています。でも、これより小さい店舗でも、地方自治体の条例で設置が必要になることが多いので注意が必要です。
設置対象となる施設
「うちの店は小さいから関係ないでしょ」と思っている方、ちょっと待ってください。グリーストラップの設置義務は、店舗の規模や業種によって細かく決められています。
基本的に、以下のような施設では設置が義務付けられています:
- レストラン・食堂
- カフェ・喫茶店
- ファストフード店
- 居酒屋・バー
- ホテル・旅館の厨房
- 病院・学校の給食施設
- 食品加工場
- 惣菜店・弁当店
つまり、油を使った調理を行う施設なら、ほぼ確実にグリーストラップが必要になると考えておいた方がいいでしょう。
地方自治体によっては、さらに細かい基準を設けているところもあります。例えば、東京都や大阪府などの大都市圏では、比較的小規模な店舗でも設置を求められることが多いんです。
開業前には必ず、所在地の自治体の建築指導課や保健所に確認することをおすすめします。「知らなかった」では済まされないので、事前の確認が大切ですよ。
コンプライアンス遵守の重要性
近年、HACCP(ハサップ)の義務化に伴って、グリーストラップの管理はこれまで以上に重要視されるようになりました。HACCPとは食品の安全管理システムのことで、2021年から完全義務化されています。
グリーストラップのメンテナンスを怠っていると、以下のようなリスクがあります:
- 保健所からの改善指導
- 営業許可の取り消し
- 罰金刑(最大1,000万円以下)
- 懲役刑(最大5年以下)
- 近隣住民からの苦情
- 企業イメージの悪化
特に、産業廃棄物の不法投棄については厳しい罰則が設けられています。グリーストラップから取り除いた油脂や汚泥を、一般ゴミとして処分するのは完全にアウトです。
でも、きちんと法律を守って運営していれば、何も怖いことはありません。むしろ、適切な管理をすることで、お客様に安心して食事を楽しんでもらえる環境を提供できるんです。
コンプライアンスを守ることは、お店の信頼性向上にもつながります。近年は、消費者の食の安全に対する意識が高まっているので、きちんとした管理をしているお店は評価されやすいんですよ。
法的な義務だからといって嫌々やるのではなく、「お客様のため、環境のため」という気持ちで取り組むと、自然と適切な管理ができるようになります。私たち水道修理のプロとしても、そんな意識の高い事業者様を全力でサポートしたいと思っています。
効果的な清掃・メンテナンス方法

グリーストラップを長く使い続けるためには、正しい清掃スケジュールとメンテナンス方法を身に付けることが一番大切です。「毎日やること」「週に1回やること」「月に1回やること」をきちんと分けて管理すれば、思ったより簡単に清潔な状態を保てますよ。
私が現場で見てきた経験から言うと、メンテナンスを怠って後から大掛かりな修理が必要になるより、日頃のお手入れをしっかりやる方が断然コストも時間も節約できます。
毎日行うべき清掃作業
毎日の清掃は、グリーストラップを正常に機能させるための基本中の基本です。営業終了後に必ず行うようにしてください。
清掃箇所 | 作業内容 | 所要時間 |
---|---|---|
第1槽のバスケット | 生ゴミの除去・水気切り | 5分程度 |
水面の確認 | 油脂の浮遊状況をチェック | 1分程度 |
周辺の清拭 | フタ周りの汚れ拭き取り | 2分程度 |
第1槽のバスケットに溜まった生ゴミは、必ず毎日取り除いてください。特に夏場は腐敗が進むのが早いので、できれば1日に2〜3回チェックするのがおすすめです。
バスケットを持ち上げるときは、しっかりと水気を切ってから生ゴミを一般ゴミとして処分します。この時、グリーストラップ専用のゴミネットを使うと、細かいゴミも簡単に処理できて便利ですよ。
週次メンテナンスの手順
週に1回は、第2槽の油脂除去を中心とした清掃を行います。油脂を放置すると害虫の温床になるだけでなく、悪臭の原因にもなってしまいます。
週次メンテナンスの手順は以下の通りです:
- 第2槽の水面に浮いた油脂をザルですくい取る
- グリーストラップ専用の吸着マットで細かい油分を除去
- 第1槽のバスケットを念入りに洗浄
- 各槽の水位と排水の流れを確認
油脂をすくい取るときは、目の細かいザルを使ってフタ付きのプラスチック容器に入れてください。取り除いた油脂は必ず産業廃棄物として適切に処分する必要があります。
吸着マットは水面に浮かべておくだけで油脂を吸着してくれるので、手間をかけずに効果的な清掃ができます。定期的に新しいマットに交換することをおすすめします。
月次・定期清掃のやり方
月に1回は、グリーストラップ全体を徹底的に清掃します。これは第3槽の排水トラップや、普段手の届かない部分の汚れを取り除く大切な作業です。
必要な清掃用具一覧
月次清掃を効率的に行うために、以下の用具を準備しておきましょう:
用具名 | 用途 | 選び方のポイント |
---|---|---|
ゴム手袋 | 手の保護 | 厚手で耐油性のあるもの |
柄の長いブラシ | 排水トラップの清掃 | 毛が硬めで届きやすい長さ |
柄の長いスコップ | 汚泥の除去 | プラスチック製で軽量なもの |
目の細かいザル | 油脂のすくい取り | ステンレス製で丈夫なもの |
フタ付き容器 | 廃棄物の一時保管 | 密閉性が高く悪臭を防げるもの |
消臭剤 | 悪臭対策 | グリーストラップ専用のもの |
これらの用具は専用のものを用意して、他の清掃作業と混用しないようにしてください。衛生管理の観点からとても重要なポイントです。
産業廃棄物の適切な処分方法
グリーストラップから除去した油脂や汚泥は、法律で産業廃棄物に分類されているため、一般ゴミとして処分することは絶対にできません。
処分方法は以下の手順で行います:
- 除去した油脂・汚泥を密閉容器に保管
- 産業廃棄物処理業者への依頼
- マニフェスト(管理票)による処理の確認
- 処理完了の記録保管
産業廃棄物を不法投棄した場合、1,000万円以下の罰金または5年以下の懲役が科せられる可能性があります。そんなリスクを背負うよりも、適切な業者に依頼する方が安心ですよね。
なお、第1槽のバスケットに溜まった生ゴミは一般ゴミとして処分できるので、油脂・汚泥とは分けて管理してください。
清掃を効率化するコツ
毎日の清掃作業を少しでも楽にするために、私がお客様におすすめしているコツをご紹介します。
一番効果的なのは、そもそも汚れを溜めないように工夫することです。例えば、食器を洗う前に油分をできるだけ拭き取る、残飯は排水口に流さずゴミ箱に捨てるといった基本的なことを徹底するだけで、グリーストラップの汚れ方が劇的に変わります。
また、清掃の記録をつけることもおすすめします。いつ何をしたかを記録しておけば、「そろそろ週次清掃の時期だな」「前回の月次清掃から時間が経ったな」といったことが分かりやすくなります。
グリーストラップ専用の洗剤や消臭剤を使うのも効果的です。一般的な洗剤より油脂に対する洗浄力が高く、作業時間の短縮につながります。
そして何より大切なのは、無理をしないことです。汚れがひどくなってしまった場合や、異常な臭いがする場合は、無理に自分で対処しようとせず、プロの水道修理業者に相談してください。早めの対応が、結果的に時間とコストの節約につながりますよ。
トラブル発生時の対処方法

グリーストラップを使っていると、どうしてもトラブルが起きてしまうことがあるんです。でも大丈夫!私が長年の経験で培った対処法をお教えしますので、焦らずに対応していきましょう。
一番大切なのは、トラブルの原因を正しく見極めることです。間違った対処をしてしまうと、かえって状況を悪化させてしまう可能性があるからです。
排水つまりが起きた場合
グリーストラップで最も多いトラブルが排水つまりです。つまりの原因によって対処法が全く違うので、まずは何が原因でつまっているのかを確認することから始めましょう。
排水の流れが悪くなってきたら、それは警告サインです。完全につまってしまう前に対処することで、大きなトラブルを避けることができますよ。
油脂固着によるつまり
油脂によるつまりは、グリーストラップで最も頻繁に起こるトラブルです。油脂は水に溶けないため、時間が経つと排水管の内側に徐々に蓄積していきます。
特に冬場は気温が下がって油脂が固まりやすくなるため、つまりが発生しやすくなります。また、清掃を怠っていると油脂の層がどんどん厚くなって、最終的には水の通り道を完全に塞いでしまうんです。
症状 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
排水の流れが遅い | 油脂の蓄積初期段階 | バスケットの清掃、油脂の除去 |
水が逆流する | 油脂が配管内で固着 | ワイヤー式パイプクリーナー使用 |
完全に流れない | 油脂による完全閉塞 | 専門業者による高圧洗浄 |
油脂固着の対処で最も効果的なのは、ワイヤー式パイプクリーナーを使った作業です。これは私たち水道修理業者が行うトーラー作業と同じ原理で、固着した油脂を物理的に除去できます。
ただし、ワイヤーを使う時は排水管を傷つけないよう十分注意してください。力任せに押し込むのではなく、回転させながらゆっくりと進めることがコツです。
異物混入によるつまり
飲食店では、おしぼりや割り箸、ストロー、食べ残しなどが誤って排水口に流れてしまうことがよくあります。これらの異物がグリーストラップや排水管でつまりを起こすと、油脂以上に厄介なんです。
異物によるつまりの特徴は、突然発生することです。昨日まで普通に流れていたのに、今日になって急に流れなくなったという場合は、異物混入を疑ってください。
対処方法としては、まずグリーストラップの第1槽を確認して、バスケット内に異物が引っかかっていないかチェックします。バスケットで捕まえられていれば簡単に取り除けますが、問題はバスケットを通り抜けて配管内に入り込んでしまった場合です。
この場合もワイヤー式パイプクリーナーが有効ですが、異物の種類によっては引っかかって取れなくなることもあります。布類や柔らかいものは特に注意が必要で、無理に押し込もうとすると奥に詰まって取れなくなってしまいます。
悪臭問題への対応
グリーストラップから上がってくる悪臭は、従業員のみなさんにとって本当につらい問題ですよね。悪臭の原因は主に生ゴミの腐敗と油脂の酸化です。
まず即効性のある対策として、グリーストラップ専用の消臭剤を使用してください。ただし、これは一時的な対処法です。根本的な解決には、やはり定期的な清掃が欠かせません。
第1槽のバスケットに溜まった生ゴミは、1日に何度でも取り除くことをおすすめします。特に夏場は腐敗が早いので、朝・昼・夕方の3回は確認してほしいですね。
第2槽の油脂も悪臭の大きな原因になります。油脂は酸化すると独特の刺激臭を発するため、週に1回は必ず除去するようにしましょう。
それでも悪臭が改善しない場合は、排水トラップの封水が不足している可能性があります。封水は下水臭が上がってくるのを防ぐ重要な役割を果たしているので、適切な水位を保つことが大切です。
害虫発生時の対策
グリーストラップは害虫にとって格好の繁殖場所になってしまいます。特に注意が必要なのはチョウバエ、ゴキブリ、そしてネズミです。
チョウバエは排水溝でよく見かける小さな黒い虫で、グリーストラップの汚れを栄養源にして大量発生することがあります。幼虫は油脂や汚泥の中で育つため、清掃を怠ると一気に増えてしまうんです。
害虫の種類 | 発生原因 | 対策方法 |
---|---|---|
チョウバエ | 油脂・汚泥の蓄積 | 徹底的な清掃、専用殺虫剤使用 |
ゴキブリ | 生ゴミの放置 | 毎日の生ゴミ除去、隙間の封鎖 |
ネズミ | 食べ残しの蓄積 | 侵入経路の遮断、専門業者への依頼 |
害虫対策で最も大切なのは予防です。清潔な状態を保つことで、害虫が繁殖する環境を作らないことが一番効果的な対策になります。
もし害虫が発生してしまった場合は、まず発生源となっているグリーストラップを徹底的に清掃してください。その上で、害虫駆除用の薬剤を使用します。ただし、食品を扱う施設では使用できる薬剤に制限があるので、必ず食品衛生に配慮した製品を選んでくださいね。
ネズミについては、食中毒の原因となる細菌やウイルスを運んでくる可能性があるため、特に注意が必要です。グリーストラップ周辺にネズミの糞を見つけたら、すぐに専門の駆除業者に相談することをおすすめします。
部品故障・交換が必要な場合
グリーストラップも機械設備ですから、長年使っていると部品が劣化してきます。特に注意したいのは、バスケット、スライド板、トラップ管、排水トラップ、フタの5つの主要部品です。
バスケットは毎日使う部分なので、一番劣化が早い部品です。網目が破れてしまうと生ゴミが素通りしてしまい、第2槽や第3槽に負担をかけてしまいます。破損を見つけたらすぐに交換してください。
スライド板やトラップ管は、腐食や変形によって密閉性が失われることがあります。この状態になると、グリーストラップ本来の機能を果たせなくなってしまうんです。
部品名 | 故障の症状 | 交換時期の目安 |
---|---|---|
バスケット | 網目の破損、取っ手の破損 | 1〜2年 |
スライド板 | 変形、腐食による密閉不良 | 5〜7年 |
トラップ管 | 詰まり、腐食 | 7〜10年 |
排水トラップ | 封水の保持不良 | 7〜10年 |
フタ | ひび割れ、変形 | 10〜15年 |
部品交換で一番困るのが、適合する部品を見つけることです。グリーストラップのメーカーや型番によって部品の規格が違うため、間違った部品を取り付けると正常に機能しないことがあります。
また、部品によっては素人の方では交換が難しいものもあります。特にトラップ管や排水トラップの交換は、配管工事の知識が必要になる場合が多いんです。
無理に自分で交換しようとして失敗すると、かえって修理費用が高くついてしまうことがあります。部品故障を発見したら、まずは専門業者に相談することをおすすめします。私たちプロなら、適切な部品の選定から交換作業まで、安全かつ確実に対応できますからね。
定期的な点検を行うことで、部品の劣化を早期に発見できます。月に1回は各部品の状態をチェックして、異常がないか確認するようにしてください。早期発見・早期対応が、長期的なコスト削減につながりますよ。
専門業者への依頼を検討すべきケース

グリーストラップのトラブルは自分で解決できることもありますが、状況によってはプロの水道修理業者に依頼した方が安全で確実です。無理に自分で対処しようとすると、かえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。
私の経験上、特に業務用のグリーストラップは複雑な構造になっているため、適切な判断が重要になってきます。ここでは、どんな時に専門業者への依頼を検討すべきか、具体的にお話しします。
自力解決が困難な状況
まず結論から言うと、以下のような状況では迷わず専門業者に依頼することをおすすめします。
一つ目は、排水が完全に逆流している状況です。グリーストラップから汚水が溢れ出している場合、排水管の奥深くで重篤な詰まりが発生している可能性があります。この状態で営業を続けるのは衛生的に非常に危険です。
二つ目は、繰り返し同じトラブルが発生する場合です。一時的に解決したように見えても、数日後にまた同じ問題が起きるなら、根本的な原因が解決されていません。表面的な対処だけでは、結果的にもっと大きな問題に発展してしまうリスクがあります。
三つ目は、グリーストラップの部品が破損している場合です。バスケットやスライド板、トラップ管などの主要部品に亀裂や変形が見られる時は、専門的な修理や交換が必要になります。
状況 | 危険度 | 対応の緊急性 |
---|---|---|
排水の完全逆流 | 高 | 即日対応必要 |
トラブルの繰り返し発生 | 中 | 1週間以内 |
部品の破損・劣化 | 中 | 1週間以内 |
強烈な悪臭の継続 | 中 | 数日以内 |
また、専門工具や高圧洗浄機が必要な作業も、一般の方では対応が困難です。特に排水管の奥深くまで清掃する場合、適切な機材と技術がないと効果的な作業ができません。
プロに依頼するメリット
専門業者に依頼することで得られるメリットは、想像以上に大きいものです。最大のメリットは確実性と安全性にあります。
確実にトラブルを解消できるのが一番のポイントです。私たちプロは、グリーストラップで発生している問題の根本的な原因を特定し、適切に対処することができます。表面的な症状だけでなく、なぜそのトラブルが起きているのかまで把握して解決するため、同じ問題の再発を防ぐことができるんです。
二つ目のメリットは、従業員の負担を大幅に軽減できることです。グリーストラップの清掃作業は、正直言ってかなりきつい作業です。悪臭もひどいですし、油まみれになることもあります。これを従業員にやらせるのは、精神的にも肉体的にも大きな負担をかけてしまいます。
特に飲食店では、従業員は調理や接客で忙しく、グリーストラップのトラブル対応まで手が回らないことが多いんです。プロに任せることで、従業員は本来の業務に集中できるようになります。
三つ目は、安心して営業を続けられることです。グリーストラップのトラブルを抱えたまま営業していると、「いつ排水が完全に止まってしまうかわからない」「お客様に悪臭で不快な思いをさせていないか」と、常に不安を感じながら仕事をすることになります。
プロがしっかりと対処することで、こうした不安から解放され、安心して営業に専念できるようになるんです。
信頼できる業者の選び方
グリーストラップのトラブル解消を依頼する業者選びでは、必ず確認すべきポイントがいくつかあります。適当に選んでしまうと、かえってトラブルが大きくなってしまう可能性もあるので、慎重に選ぶことが大切です。
まず、グリーストラップの専門知識と経験があるかどうかを確認してください。一般的な排水トラブルと、グリーストラップ特有の問題では対処方法が異なります。業務用グリーストラップの構造や清掃方法、トラブルの原因について詳しく説明できる業者を選びましょう。
また、迅速な対応が可能かどうかも重要なポイントです。グリーストラップのトラブルは営業に直結するため、できるだけ早く解決したいものです。24時間365日対応している業者や、即日対応が可能な業者を選ぶと安心です。
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水道局指定工事店の重要性
グリーストラップのトラブル解消を依頼する際は、必ず水道局指定工事店に依頼することが重要です。
水道局指定工事店とは、各自治体の水道局から排水設備工事を行う許可を受けている業者のことです。グリーストラップは下水道法に関わる重要な設備なので、専門的な知識と技術を持った認定業者でないと、適切な対応ができません。
特に、グリーストラップ本体の交換や排水管の工事が必要な場合、水道局指定工事店でないと工事を行うことができません。非指定業者が無許可で工事を行った場合、法的な問題に発展する可能性もあります。
水道局指定工事店かどうかは、業者のホームページや広告で確認できます。指定工事店番号が明記されているはずなので、依頼前に必ずチェックしてください。
見積もり・料金の確認ポイント
業者選びで失敗しないためには、見積もりと料金体系を事前にしっかり確認することが欠かせません。
まず、出張費や見積もり費用が無料かどうかを確認してください。グリーストラップのトラブルでは、実際に現場を見てみないと正確な原因がわからないことが多いんです。そのため、複数の業者に見積もりを依頼することもあるでしょう。出張費や見積もり費用がかかる業者だと、比較検討するだけで結構な金額になってしまいます。
作業内容と料金の内訳が明確に示されているかも重要なポイントです。「グリーストラップ清掃一式○○円」といった曖昧な見積もりではなく、どんな作業にどのくらいの費用がかかるのか、詳細に説明してもらいましょう。
確認項目 | 良い業者の例 | 注意すべき業者の例 |
---|---|---|
出張費 | 無料 | 有料(特に高額) |
見積もり | 詳細で明確 | 一式表示で曖昧 |
追加料金 | 事前説明あり | 作業後に突然請求 |
支払い方法 | 多様な選択肢 | 現金のみ |
特に注意したいのが、追加料金の発生条件です。作業を始めてから「想定より汚れがひどいので追加料金がかかります」と言われるケースもあります。どんな場合に追加料金が発生するのか、事前にしっかり確認しておきましょう。
また、支払い方法についても確認しておくことをおすすめします。現金のみしか受け付けていない業者よりも、クレジットカードや振込など多様な支払い方法に対応している業者の方が、一般的に信頼性が高いと考えられます。
深夜や早朝の作業では割増料金がかかることもあるので、緊急時の料金体系についても事前に確認しておくと安心です。
まとめ
グリーストラップは、飲食店や食品関連施設において法的設置義務がある重要な設備です。私がこれまで多くの現場で見てきた経験から断言できるのは、適切な維持管理こそがトラブル防止の最重要ポイントだということです。毎日の簡単な清掃から月次の本格的なメンテナンスまで、継続的なケアを怠ると排水つまりや悪臭といった深刻な問題に発展します。特に油脂の蓄積による配管詰まりは、自力解決が困難なケースが多いため、早期の専門業者への相談をお勧めします。水道局指定工事店なら安心して任せられるでしょう。