普段は見逃しがちなカビですが、ゆっくりと湯船に浸かりながらお風呂場を見渡すと、思いがけない場所にカビが生えているのを見つけることがあるかもしれません。
カビの中には健康に悪影響を及ぼす種類もあるため、早期の発見と対策が求められます。
本記事では、お風呂場のさまざまな箇所におけるカビの効果的な取り除き方をお伝えします。
さらに、カビの発生を防ぐための日常的な予防策についても詳しく解説しますので、清潔で快適な浴室を維持するための参考にしてください。
お風呂に発生するカビの種類
お風呂場において一般的に発生するカビには、『黒カビ』と『赤カビ』の二種類が存在します。
それぞれのカビの特性について詳しく解説いたします。
黒カビ
黒カビは、湿気の多い環境、特にお風呂のような場所で発生する微生物の一種です。
東京都保健医療局によれば、黒カビが繁殖するための条件は、「温度が約10度から30度の範囲」「湿度が70%以上」「栄養源としての皮脂が存在」し、さらに酸素が必要です。
これらの条件が整うと黒カビの発生が促進されます。
お風呂場は、まさに黒カビが繁殖しやすい環境であることが明らかです。
黒カビ自体には毒性はありませんが、その胞子を吸引することでアレルギー反応などの健康問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
したがって、お風呂で黒カビを発見した際には速やかに対処することが重要です。
赤カビ(ピンク色)
お風呂場で見られるピンク色のぬめりは、一般的に「赤カビ」と称されていますが、実際にはカビではなく、「ロドトルラ」という酵母菌の一種です。
このロドトルラは、湿度が高く、温度が20度から30度の範囲で好んで繁殖します。
さらに、皮脂や石鹸カスを栄養源として利用するため、お風呂場はその条件が整いやすく、ロドトルラにとって理想的な環境となります。
この酵母菌には毒性がないため、健康に対する直接的な危険性は低いですが、放置すると別の問題が生じる可能性があります。
ロドトルラは黒カビの栄養源となるため、黒カビの繁殖を促進する恐れがあります。
また、ロドトルラは他の菌類に比べて繁殖が早く、一度発生すると短期間で広がることがあります。
お風呂のカビを除去できる洗剤はコレ
お風呂のカビを除去するための製品は、インターネットやドラッグストアで多く見つけることができます。ここでは、カビに対して効果的な洗剤をいくつかご紹介いたします。
塩素系カビ取り剤
塩素系カビ取り剤は、主成分である次亜塩素酸ナトリウムを用いてカビを除去します。
通常、アルカリ性から強アルカリ性に分類され、非常に強力な洗浄効果を持っています。
しかしながら、塩素系カビ取り剤には特有の刺激的な臭いがあるため、使用前に製品の説明書を十分に確認し、指示に従って適切に使用することが求められます。
塩素系漂白剤にはスプレータイプやジェルタイプなどのバリエーションがあり、目的に応じて選択して使用することが重要です。
- ■スプレータイプ
広い面積に吹き付ける事が可能。また均一に散布できる。
- ■ジェルタイプ
年生が高い為、壁や目地に有効。
酸素系漂白剤
過炭酸ナトリウムを主成分とする酸素系漂白剤は、ナチュラル洗剤として広く認識されており、従来の塩素系漂白剤とは異なる特性を有しています。
最大の特徴は、強い刺激臭がないため使用時の不快感が軽減される点です。
このため、手肌が敏感な方やペットを飼っている家庭でも安心して使用できる漂白剤となっています。
ただし、その効果は穏やかであるため、黒カビなどの頑固なカビに対しては一定の時間を要することがあります。
事前準備|お風呂のカビを除去しよう
それではいよいよ、お風呂のカビをやっけましょう。
ですが、効率よく作業する為にも事前準備が必要です。
特に換気は重要となります。
換気を徹底する
塩素を含む成分を使用することにより、有害なガスが発生する恐れがあります。
特に、酸性のものと混ざると生死にかかわるような有毒ガスが発生します。
これらのガスは強い刺激性を持ち、特有の強烈な匂いを放ちます。
不快な感覚を引き起こすだけでなく、長時間吸引することで健康に悪影響を及ぼすことがあるため、換気扇を回し、窓を開けて通気を徹底して確保しましょう。
ゴム手袋とマスクで防護する
塩素系漂白剤に触れた後に手がぬるぬるするのは、皮膚表面の皮脂やたんぱく質が溶解していることを示しています。
皮膚にダメージを与える可能性があるため、作業時には必ずゴム手袋を着用することが重要です。
万が一、塩素系漂白剤に接触した場合は、速やかに水で手を洗い流しましょう。
また、塩素系漂白剤を使用する際には、有害なガスを吸引しないようにマスクを着用しておきましょう。
さらに、ゴーグルや眼鏡で目を保護しておけば安心です。
お風呂が乾いてから掃除する
カビ取り剤を使用する前に、壁や床が乾いている状態にすることが重要です。
お風呂場の壁や床が濡れていると、カビ取り剤が水分によって薄まってしまい、その効果が十分に発揮されません。
また、湿った環境ではカビ取り剤がしっかりと密着せず、カビに対する効果が低下します。
乾燥した状態でカビ取り剤を使用することをお勧めします。
場所別|お風呂のカビ取り方法
お風呂の中でカビが生える場所は複数あります。
掃除のしやすさも変わりますので、場所別にカビ取り方法をご紹介します。
床や壁に発生したカビを取り除く方法
まずは床のカビ取り方法です。
床は壁と異なり、漂白剤をかけても液体が垂れにくいため、カビを比較的容易に除去することができます。
手順は次の通りです。
- 床のカビ部分に漂白剤を噴霧する
- 一定時間放置(目安はパッケージに記載されています)
- 歯ブラシでこする
- 水かお湯で洗い流す
次に壁のカビ取り方法です。
壁の場合はジェルタイプの洗浄剤か、キッチンペーパーを利用しましょう。
- 壁のカビ部分にキッチンペーパーをあてる
- キッチンペーパーの上から漂白剤を噴霧する
- 一定時間放置(目安はパッケージに記載されています)
- 歯ブラシでこする
- 水かお湯で洗い流す
壁の場合は、液だれしないようにするのがポイントです。
コーキング部分を強くこすってしまうと、めくれてしまったりすることがあるので、柔らかめの歯ブラシでこすりましょう。
天井に発生したカビ取り方法
天井のカビ取りが一番厄介です。
ここで使うのは「フロアワイパー」です。
漂白剤を染みこませて拭き取るように使います。
- フロアワイパーにシートを付ける
- シートに漂白剤を噴霧する
- ゆっくりと天井拭いていく
- 一定時間放置(目安はパッケージに記載されています)
- シャワーで洗い流す
- 乾いたシートで拭きあげる
上を向きながらの作業になるので、結構しんどいです。
また、洗い流すときは服が濡れないように注意して下さい。
雨カッパを着ておくと安心です。
パッキンの黒カビを取り除く方法
パッキンは樹脂製のため、黒カビで汚れることがあります。
初期の状態であれば漂白剤につけることでキレイにできます。
ただし、パッキンは劣化しやすい部品なので優しく取り扱って下さい。
掃除が手間と感じた場合は、新しいパッキンに交換するほうが早いです。
エプロン(浴槽の側面)のカビ取り方法
エプロンは、洗い場の側面に位置し、バスタブのカバーとしての役割を果たす部品です。
浴槽のエプロンの存在を知らない方も多いのが現状です。
しかし、浴槽エプロンの内側、すなわちバスタブの内部は、水垢やカビが発生しやすい環境です。
そのため、エプロンは取り外し可能な設計となっており、内部の清掃が容易に行えます。
入浴中にカビの臭いを感じた場合は、浴槽エプロンを疑いましょう。
- エプロンを取り外す
- カビに漂白剤を噴霧する
- 一定時間放置(目安はパッケージに記載されています)
- シャワーで洗い流す
- ぬめりが残っている場合は2~4を繰り返す
- 雑巾で拭きあげる
- エプロンを元に戻す
エプロンを掃除する際には傷を付けないようにしましょう。
傷ができてしまうと、そこにカビが繁殖する事があります。
注意点|お風呂のカビ取り時
たかがお掃除。されどお掃除。
自分でカビ取りをするときの注意点は必ず守りましょう。
塩素系漂白剤と混ぜてはいけないもの
塩素系の洗剤には混ぜてはいけないものがあります。
また、酸性の洗剤を同時に使用してはいけません。
人体にとって猛毒となるガスが発生します。
- 酸性の洗剤
- 食酢(お酢)
- アルコール
- レモン
お風呂掃除の際に酸性の洗剤を使っている場合もあるので、成分はよく確認しましょう。
鏡に漂白剤をかけないように注意
鏡の表面に見られる黒い斑点やシミは、カビであると誤解されがちですが実際にはサビである可能性が高いです。
特に、5〜10年以上使用されているお風呂場の鏡において、この現象はよく観察されます。
しかし、カビと誤認し、カビ取り剤であるカビキラーやカビハイターを使用することは逆効果となります。
これらの製品は強力な化学物質を含み、金属を腐食させる特性があります。鏡の裏面には金属が施されているため、カビ取り剤を使用すると、鏡の劣化が進行する恐れがあります。
無理はしない
自分でカビ取りをしてみても、うまくカビを除去できない事もあります。
どうしてもキレイにならない時や、破損してしまいそうなときは無理をせずにプロのお掃除屋さんに依頼しましょう。
お風呂にカビを発生させないためのお手入れ5選
カビを防ぐためには、普段のお風呂掃除や入浴後に心掛けるべきポイントがあります。
カビが発生しない環境を作ることで、大掃除をする必要がなくなります。
1.定期的に熱いお湯をかける
文部科学省が発表した「カビ対策マニュアル」によれば、カビの予防には50度以上のお湯を使用することが推奨されています。
シャワーを利用して、カビが発生しやすい箇所に50度以上のお湯を5秒以上かけることで、カビを効果的に死滅させることが可能です。
カビは高温に対して脆弱であり、50度以上の環境では生存できません。
さらに、お湯をかけた後に冷水をかけることで、壁などの表面温度を急激に低下させることができます。
この温度の急激な変化により、カビの胞子が定着しにくい環境が整い、カビの発生を抑えることができます。
日常的な入浴後の掃除にこの方法を取り入れることで、カビの発生を効果的に防ぐことができるでしょう。
2.24時間、換気する
入浴後の浴室は大量の湿気に包まれ、手の届きにくい天井などには無数の水滴が付着しています。
この湿気はカビの発生を助長するため、適切な換気が必要です。
単に窓を開けるだけでは十分な換気が行えないため、入浴していない時間帯には換気扇を積極的に使用することを推奨します。
換気を行うことで浴室全体の湿度が低下し水滴が蒸発します。
また、家族にも換気の重要性を伝えることが大切です。
3.浴室内に物を置かない
棚やカウンターは水が溜まりやすく、シャンプーやボディソープを置くと、ボトルの底がヌメリや黒カビの原因となることがあります。
水分をしっかり拭き取ることが重要ですが、お風呂場に物が多いとその作業が煩雑になります。
そのため、必要最低限の物だけを置くことが推奨されます。
例えば、子供のおもちゃは使用時のみ持ち込み、使用後は必ず片付けることが重要です。
また、シャンプー類はカウンターに直接置かず、フックを利用して吊るす収納にすることで水の溜まりを防ぎ、ヌメリの発生を抑えることができます。
4.定期的にアルコール消毒をする
アルコールの殺菌効果によってカビの発生を抑え、清潔な環境を保つことが可能です。
まず、フロアワイパーにドライシートを装着し、アルコール消毒液をしっかりと染み込ませます。
この道具を用いて天井を丁寧に拭くことで、目に見えないカビの胞子や細菌を効果的に除去できます。
この作業を月に一度程度定期的に実施することで、カビの繁殖を防ぎ清潔な浴室環境を維持できます。
ただし、高所での作業となるため、安全に配慮しながら掃除を行うことが重要です。
5.市販の防カビ剤を使う
お風呂のカビを防ぐためには、市販の防カビ剤を利用することが推奨されます。
くん煙剤やスプレータイプ、置き型タイプなど、さまざまな種類の商品が市場に出回っています。
用途に応じて適切な製品を選ぶことで、効果的にカビを防ぐことができます。
例えば、天井にはくん煙剤を、排水口には置き型タイプを使用することが望ましいです。
防カビ剤を購入する際には、どの部分に使用するのが最適かを事前に確認することが重要です。
お風呂のカビに関するよくある質問
まとめ
お風呂は多くの方が毎日利用するため、カビのない清潔な環境での入浴が望ましいです。
日常的な対策としては、湿気管理や換気が非常に重要です。
万が一カビが発生した場合には、市販のカビ除去剤や塩素系漂白剤を使用することが推奨されます。
頑固なカビには塩素系漂白剤を、酸性の水垢には酸性洗剤を選ぶなど、汚れの種類に応じた適切な洗剤の選択が必要です。
水道屋さんに関する体験を教えて下さい